Side 本町雄輔

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Side 本町雄輔

あれから・・2度目のゲームから、1ヵ月が過ぎようとしていた。 あそこであったことが、あの出来事が夢だったかのようにごく平凡な日常がそこにはあった。 けれども、その日常も変化していた。 一番の変化は、3人の関係についてだ。 俺はここしばらく・・あのゲームの後から、2人と会っていない。 そう、俺達は1人1人が自分と向き合って答えを出さなければいけない。 あのゲームの最後。 あいつに言われたこと、それをどう受け取るか。 「全てを忘れて、普通に戻って欲しい。」 そう、それがあいつの願いだった。 あいつは結局、俺達の分まで背負って生きていたんだ。 自分自身のことを背負うだけで一杯だった俺たちの分まで。 けれど、あいつは俺たちに背負って欲しいとは思っていない。 ・・いや、最初からそうだったんだろうな。 あいつは俺達に誰かを殺すことを求めなかった。 あいつは勝手に、1人でゲームを終わらせようとしていた。 そうすることで、他の人にそういうものを背負わせないように。 最初からあいつは、その願いに忠実だったんだ。 「はあ・・。」 けれど、1人で背負うには大きすぎるとも思う。 自分1人の分でさえ大きいと感じるほどのものを、一体何人分背負うつもりだ、朝比奈。 俺もクラスメートを殺している。 罪の意識はどうしたって消えない。 だからこそ、あいつと一緒に背負ってやりたい。 そう思うこともある。 確かに、あいつの方がよりたくさんの人を殺しているだろう。 けれど、あいつはそういうことを望んでいない。 ・・思考の繰り返し。 選べないから、繰り返すしかなかった。 「はあ・・。」 今日何度目のため息だろうか? もうそれすら分からなかった。
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