Side 本町雄輔

4/10
前へ
/71ページ
次へ
日曜日。 俺は1人、ある場所を訪れていた。 ・・そういえば、前もこの場所に一人で来たんだったな。 俺は手に持っていた花をそっと添える。 ・・ここは、友人の眠る墓だ。 なあ、谷藤。 俺は結局、どうすればいいんだろうな? そんな無意味な問いかけをしてみる。 だって、これは自分で答えを見つけるしかないものなんだから。 ・・答える人などいなくて、風の音だけが聞こえている。 ここには自分以外、誰もいなかった。 なんだか閑散としていて、それが少し辛く感じた。 結局俺は、何もできなかった。 相変わらず答えを出すこともできないし、あいつを連れて帰ることもできなかった。 谷藤、お前ならどんな答えを出したんだ? 勿論、答える声なんてない。 それが空しく、心に隙間を生む。 その隙間に風が入り込んで、それは寒く冷たい。 本当になんて無駄なんだろう。 結局、俺は自分で答えを出すこともできないから、死者に頼ってしまったんだろ。 友達を頼るなら、生きてるやつに頼れって怒られそうだ。 「谷藤・・また来るよ。  次はきっと、答えを見つけてさ。」 今みたいな状態でここに来ても、きっとまた辛くなるだけだ。 俺は振り返ることなく、その場を後にした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加