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思いとどまることができたとはいえまともに目を見開いてしまっていた彩香に、さらに複雑そうな顔を向けて翔。
「何だよ? そんな似合わねーかよ」
「……う、はい」
「ああ?」
「えっ!? だ、だって先輩クチは悪いけど黙ってれば真面目な好青年風に見え――」
「てっめえ――」
「す、すいませんっ! い、いやその……っ、特進コース歩んでるようなヒトが――なんでまたそんな、って思って……」
「なんで、って――」
謝りながらも結局は普通に訊いてきたも同然な話運びに驚いたのか、少しだけ目を見開いて翔は口ごもる。
「別に……単にヤケ起こしてトチ狂ってたんだろな、今にして思えば。…………いや、結局は逃げてただけっつーか……」
そう言って自嘲気味に笑って伏せた目が、微かに翳った。
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