5.扉を開けると

17/25
前へ
/380ページ
次へ
 ――が。  すっかり黙りこんでしまった彩香にハッとして眉をしかめたかと思うと、次の瞬間。    「――って、なに余計なことまで喋らしてんだよ、この馬鹿チビがっっ」  ガバリとまたもや大きな手のひらが彩香の頭部を急襲した。 「え、えええええええ! ヒトのせいにしますか、そこ!?」 「るっせ。今までの仕返しだ」 「いだだだだだ……ち、縮む。縮むからーっ!」  何発(はた)かれたと思ってんだこのやろ、などと言いながら鷲掴んだ手は更にぐりぐりと押さえつけてくる。 (ていうか、こ、このヒト本当に……)  呻きながら、あらためて彩香は確信した。  軽薄な笑みと猫なで声のほうが良かったというわけでは断じてナイが、いくらなんでも豹変しすぎだろっ!とどこかに訴えたい。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加