5.扉を開けると

19/25
前へ
/380ページ
次へ
「――変なヤツ……」  ショックと後悔で力なく廊下にへたり込む背中に、呆れたような――だが妙に憐れむような声が降ってくる。 「だから、なんだってそんなに跳びたがんだよ? 最初から断然不利だろ、身長勝負な種目なんて。努力はわからなくはねーけど……それだけじゃどーにもなんねえことだってあんだろ」 「だからですっ。絶対ムリそうなところ越えられたら、今度こそ何か変われるかもって思うじゃないですか!」  思わず勢いよく上体を起こして、力説してしまっていた。 「――」  はあ?と言わんばかりに目を丸くしている、無駄に造りだけはいい顔をまともに見上げてしまい、急激に我に返る。 (な、なにバカ丸出しで語っちゃってんだ自分!? 今まで誰にも……柚葉にさえ言ったことないのに!)
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加