5.扉を開けると

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(あたしはアンタの妹でも下僕でも、かかかか彼女でもねーぞ! 名前で呼ばれる覚えはなーーーい!)  ――が。  「……『西野』?」 「そう!」  固く拳を握って大きくうなずいている彩香をひと睨みしてから、翔は少しだけ考えるように視線を宙に巡らせた。  とても面倒くさそうに。  そして。 「嫌だ」 「い、イヤ、って……」 「西野カナわりと好きだから、無理。呼び捨てありえねえ」  さくっと、しかも思い切り顔をしかめて宣いやがった。 (あ……(アンタ)がありえねーわあああああああぁ!!)  いろいろありすぎて感情が麻痺しそうになっていた上に、真面目に血管が切れるかと思った。
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