1.気付けばわりと敵だらけ

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「今日の最後、半分自習みたいなモンだったからワケ話して抜けてきた。外走るのお初だし? やっぱり道は把握しときたいじゃん?」 「そんなの……。喜んで道案内したい女の子が山ほどいるんじゃないスか?」 (っていうか瑶子さんいるし。後日あらためて二人で周ればいいだけじゃん。デートついでにでもさ) 「そんなことしてると大学落ちますよ」  つーか落ちろ、人生の挫折というものを味わってみやがれこの完璧人間め、と心の中で毒づきながらすっくと立ち上がる。  そのままグラウンド端に移動しつつある部員たちを追ってズカズカ歩き出したところに。 「あれ、心配してくれちゃってる? 嬉しいねえ」  早々と並び立つ気配がしたと思ったら、突然、大きな手のひらにわしゃわしゃと頭を撫でられた。  一瞬の空白の後、がばりと額を押さえ、ひょえっ!と真横に飛び退いてしまっていた。
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