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「ばっ……! な……っ! だっ、だから不用意に触んないでくれるっ!?」
なぜか火照る頬を扇ぎながら、そのまますかさず周囲を警戒する。
幸いこの様子を目に留めた人間はいなかったようだが、先日の後輩たちの誤解や瑶子の視線のこともある。
誰の目にどのような形で映るかわからないのだから、やはり異性――特にこの危険人物からは早々に離れなければなるまい。
単に何も考えてないのだろうが、何かというとすぐ触ってくる相手だ。
また第三者に妙な勘ぐりをされたら堪ったものではない。
(あたしを恋愛分野に巻き込むんじゃねーわ! ……ったくもうっ)
額の上でわずかにずれたハチマキを直しながら、決意も新たに速度を上げる。
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