1.気付けばわりと敵だらけ

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「ばっ……! な……っ! だっ、だから不用意に触んないでくれるっ!?」  なぜか火照る頬を扇ぎながら、そのまますかさず周囲を警戒する。  幸いこの様子を目に留めた人間はいなかったようだが、先日の後輩(モブ)たちの誤解や瑶子の視線のこともある。  誰の目にどのような形で映るかわからないのだから、やはり異性――特にこの危険人物からは早々に離れなければなるまい。  単に何も考えてないのだろうが、何かというとすぐ触ってくる相手だ。  また第三者に妙な勘ぐりをされたら(たま)ったものではない。 (あたしを恋愛分野(そっちの世界)に巻き込むんじゃねーわ! ……ったくもうっ)  額の上でわずかにずれたハチマキを直しながら、決意も新たに速度を上げる。
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