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今度は何を言い出すんだコイツは……と意識だけで軽く警戒していると、慎重に言葉を選ぶような空白の後、やや声を落として翔が口を開いた。
「――――それ、本名だよね?」
想定外すぎる問いかけに思わず足を止め、まともに振り仰いでしまう。
「はいぃぃ?」
まさか偽名を使っている?とでも言いたいのだろうか。
自分は一体どういう人間に――何者に見えているのだ?
どこぞのスパイ的な何かか?
華やかな夜の街に出没する源氏名持ちのおねーさん的な何かとか?
……いやいやさすがにとんでもなく似合わなすぎる。
では何だ?
名前が本名か、というのはいったい――
「んーと、特別なあだ名とか――何か、あったりした? 仲良い友達とかには何て呼ばれてた?」
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