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「え、別に……。普通に名前か、苗字の一文字とかで……。てか、なんで?」
驚きのあまり敬語も忘れて瞬きを繰り返してしまう。
そんな彩香に軽くため息をついたかと思うと、にっと口の端を上げて翔が見下ろしてきた。
「……や。そっか。ならいい。気のせいだった」
「???」
「何でもない、何でもなーい」
「!? だ、だからっ気安く触んないでって……!」
わしわしと頭を撫でてくる手を退けようと四苦八苦していると、どこか清涼な気配を背後に感じる。
「まさかまた西野に俺の悪口吹き込んでる?」
怒ったような困ったような呆れたような、それこそ微妙な表情で爽やか王子が腕組みして立っていた。
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