1.気付けばわりと敵だらけ

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「え、別に……。普通に名前か、苗字の一文字とかで……。てか、なんで?」  驚きのあまり敬語も忘れて瞬きを繰り返してしまう。  そんな彩香に軽くため息をついたかと思うと、にっと口の端を上げて翔が見下ろしてきた。 「……や。そっか。ならいい。気のせいだった」 「???」 「何でもない、何でもなーい」 「!? だ、だからっ気安く触んないでって……!」  わしわしと頭を撫でてくる手を退けようと四苦八苦していると、どこか清涼な気配を背後に感じる。 「まさかまた西野に俺の悪口吹き込んでる?」  怒ったような困ったような呆れたような、それこそ微妙な表情で爽やか王子が腕組みして立っていた。
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