1.気付けばわりと敵だらけ

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「お……っ、沖田くん!」 「あら侑クン。気になる? 気になる?」 「おまえなー」  懲りずに意味ありげな笑みを作って振り向く翔をひと睨みして、侑希がクイと親指を背後に向ける。   「気になるけど、今は早く出ないと。ホラ、いい加減部長に怒られ――」 「いつまでダベってんだ、そこー!? 早杉! 沖田!」   突如グラウンド端から響く陸上部主将香川の罵声。  あまりのタイムリーさに侑希の肩が若干ビクついた。 「オラ行くぞっ。おまえらが動かねーと女子集団も出発しねーだろが!」  ちょうど男二人の陰になって見えなかったのだろう。  運良く怒鳴られずに済んだ彩香は、そんな注意の仕方があるかい……と思いながらも、これ幸いと素知らぬ顔でイケメンどもから離れる。
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