1.気付けばわりと敵だらけ

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「あ、はい部長っ。今行きますっ」 「香川ちゃん、怒ってばっかだとハゲるよー?」      すでに駆けだしている侑希の背中を見送り、しょーがねえなあとばかりに翔ものんびりと歩きだした。  どうも無駄に熱くなりやすい香川部長を、面白がって突付いて楽しんでいるフシがある。 「ああ!? じゃハゲたらおまえのせいだからな? 責任取れよ? 早杉」 「ええ? 俺、香川ちゃんの嫁確定?」 「さっさと行けオラァァァ!」 「きゃー」  どこまで演技かわからない蹴りをひらりと躱して、そのまま残りの男子数名と一緒にグラウンド外へ駆け出して行く。  ぶつぶつこぼしながら香川も後に続いた。 「やっと行ったね」  にぎやかに出発していった男子集団をクスクス見送りながら、瑶子と柚葉がそれぞれ自転車を引いて近くに歩み寄ってきた。
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