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姿が見えないと思っていたら、駐輪場に居たらしい。
公道を走る部員たちのお目付け役を言い渡されたのだと、そういえば言っていた。
一年マネージャー候補の女子たちは顧問と留守番なのだろう。
あからさまに不貞腐れている彼女らに同情しつつも苦笑を浮かべていると、女子部部長と話し終えたらしい瑶子がこちらを振り返った。
「じゃ、先行くから。高瀬さん、女子のほうお願いね」
「はい」
「西野さんも、あんまり無理しないで頑張ってね。一年生を間に挟んで、様子見ながらゆっくりでいいから最後尾辺りを走ってくれると嬉しいかな」
「う……は、はいっ。了解しましたっ」
思わずぴんと背筋が伸び、しゅたっと敬礼してしまう。
綺麗で優しいいつもどおりの笑顔に、正直かなりホッとしていた。
先日の視線も、やはり気にしすぎるほどのことでもなかったらしい。
「ほら彩香。あたしたちも行こ」
「あ、ああ、うん」
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