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「ああ……ああああヤバい、マジうざい。あと一時間もしたらまたヤツの顔拝まなきゃだよ。ってかマジ無理。種族が違うんだからもう放っといてくれよあっち行けよ寄って来んなってばボケえええええ!」
「……彩香さ、いつの間にそんなに早杉先輩と親しくなったの?」
手にしたモップで幻と戦い出した彩香をひとしきり眺めた後、抑えた声でそう柚葉は切り出した。
放課後の教室。
清掃中とはいえ周囲への配慮も忘れない。さすがは大和撫子な親友である。
「は? ……あんた今の雄叫びちゃんと聞いてた? どこが親しいって?」
ほらこのケガだってあいつのせいで!とばかりに包帯を巻いた手を眼前にちらつかせてやると、さらに声を落として柚葉が歩み寄ってきた。
「だって、どうにか近付こうとしてもいつの間にか躱されちゃってる、って女の子たち言ってたよ? みんな彩香を羨ましがってるくらい」
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