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すぐ隣に立っていた柚葉に軽く肘で突かれ、我に返る。
すでに女子部員のほとんども出発していた。
親友のいつの間にか直っていたらしい機嫌にさらにホッとして軽快に走りだしかけた、まさにそのタイミングで。
「――さっきの話は後でゆっくり聞かせてもらうから。部活の後にでも、ね」
恐ろしいほど冷静に抑えられた滑らかな声色で、背後から呼び掛けられた。
(ひょえーーーーーーっ! やっぱ忘れてくれてるワケなかったか!)
「さ……さっきの話とは……」
恐る恐るぎこちなく振り返った彩香の視線の先には――
「侑くんに、何、訊いてたって?」
整いすぎているだけに、凄絶に美しく怖い微笑みがそこにはあった。
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