1.気付けばわりと敵だらけ

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「今のままでじゅうぶんだから、ってあたし彩香に言ったよね?」 「そ、それは…………い、言いました……ハイ」  結局昨日は、部活後も帰宅途中ものらりくらりと柚葉の追及を躱し、夜の電話もメールもスルーしてしまったため、翌日一時限目の体育真っ只中にこうして冷たい床に正座のうえ、魔の尋問を受けることとなったのである。  経験上、ここまで目の据わった親友からは、さすがにもう逃げることは叶わない。  観念し項垂れたまま冷や汗ダラダラ垂れ流し状態の彩香を、涼しげに上から見下ろして柚葉が口を開く。 「お願いだからそっとしといて、とも言ったよね?」 「す、スイマセン」  「あたしが勝手に、一方的にずっと好きなだけだから。これ以上は本当に、お願い」  だから無駄に仲を取り持とうなどとしてくれるな、と。  懇願(というか脅し?)されているのは、わかる。わかるが――。
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