1.気付けばわりと敵だらけ

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「それがハッキリわかっちゃったら、辛いじゃない……。彼に気まずい思いさせたくないし、あたし自身すぐに吹っ切ることも……できないだろうし。だったら今のまま――ただの部員同士としてでもいいから、優しい侑くんの側にいたいなあって」 「柚葉……」 「だから、このままでいいって言ったの。わかってくれる?」  反問する隙も見出だせないくらい、綺麗に悲しげに柚葉が微笑んだ。 「……ね、彩香? そっとしておいて?」 (柚葉も怖いんだ……)  年月とともに、ひとの想いも変わる。  もちろん変わらないものもあるだろうけど。  でも、不確かなそれに縋ることを柚葉は躊躇い、沖田侑希の気持ちが明らかになることを恐れた。  本当は死ぬほど好きなくせに。彼の気持ちまで慮って……。  なんてことだ。  健気すぎて涙が出そうだ。
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