1.気付けばわりと敵だらけ

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「惜しかったね、今の」  スタート地点に駆け戻ろうとしたところに、各種競技練習を見回り中だった三年生マネージャー篠原瑶子が声を掛けてきた。  今日のキラキラ笑顔も見惚れるほどに美しい。  そっちの気は断じて無いが、眼福には違いない。  柚葉が大和撫子的な日本人形なら、瑶子は艶やかなフランス人形といったところか。  内心でどうでもいい例えを付け加えて満足していると、軽く微笑んだまま瑶子がついと顔を寄せてきた。 「西野さん。何か悩み事あるでしょう?」 「うっ……わ、わかりますか、やはし……」 「うん、さっき変顔で跳んでたから」 「へ、変って……」  こちらの美人もなかなか無自覚にキツイことを言う。  どーせね、と心中でつぶやき意味なく笑ってごまかしながら、そういえば瑶子もあのモブたちに詰め寄った際、結構な迫力で凄んでいたなと思い出す。
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