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「……って、ああああっ、すっすすいませんっ!」
いくら何でも直截的すぎて失礼だろ馬鹿っ!という自身への罵倒も、実際手遅れだった。
驚いたように瑶子が目を見開いている。
「西野さん……『あんな』って?」
「え、ええといやその……変態というか、女タラシというか……じゃなくって! すいませんすいません正直でホント……っ! そ、そのアレですよ。瑶子さんならもっと立派な殿方がこう……な、なんというかっ!」
フォローにも撤回にもなっていないドタバタを呆然と眺めていた瑶子の口元に、ゆっくり、だがはっきりと笑みが宿る。
少しだけはにかむように彼女は目を細めた。
「大丈夫。あたしがちゃんと好きだから」
「――」
「それにね、翔は女タラシなんかじゃないのよ? 嫌になるくらい真面目なひと」
つい先日の沖田侑希と同じことを言いながら、瑶子はこの上なく綺麗な笑顔を浮かべていた。
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