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「あっ、すいませーん。大丈夫ですかぁ? 西野先輩」
起き上がって周囲を見回すより早く、クスクスクスと可愛らしい声が降ってくる。
今しがた自分に足を引っ掛けて転倒させたであろう少女たちが三人、行く手を塞いでいた。
「……」
いつもフェンス向こうから睨んできていた一年女子の中心にいた子たちだ。
謝罪を口にしてはいても、当然悪びれた様子はない。
(そろそろ来ると思ってたけど……こう来たか)
それとなく顔ぶれを確認しながらゆっくり立ち上がり、手のひらやジャージについた土を払い落とす。
ここのところ不規則に敷地外に走りに出られたり練習メニューも変えられたりして、目当ての王子を思いのままに愛でることができず、イライラも募っているのだろう。
それは、わかる。
きっかけを作ってしまった責任の半分くらいは、まあ自分にもありそうだし。
わかるのだが……
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