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「拾って。んで、ちゃんとキレイにしてよ」
リーダー格の女子(蹴りとばした張本人)に視線を当てたまま、ゆっくりと目の前に歩み寄る。
外野集団の中でも三人の中でも一番目立つ、ダントツに可愛らしい子だ。
あえて形容するなら全体的にフワフワした綿菓子のようである。
自分からすると身長的にやや見上げる形になるが、だから何だ。
…………おっとイカン。
一人ツッコミも徐々に怒気を帯びてきたのには気付いたが、彼女たちの恋心のために部員皆の愛用品を雑に扱われて良いという謂れはない。
「うわ、出た。とたんに先輩風? ていうか見た目と全然合ってなくない? ウケる」
「『拾え』だって美郷ー。どおするー?」
薄い笑みを浮かべるだけのリーダー格――美郷の肩に両側からもたれ掛かるように残りの二人が並び立った。
「うわー睨んでる。怖くないけど」
「いるんですよねー、相手によってコロコロ態度変えちゃうヒトってーえ」
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