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そりゃあんたらでしょーが。
呆れ半分の反論が喉まで出掛かるが、まあまだ想定内の反応だ。
「何いいい!?」と食ってかかるまでには至らない。
それよりさっさと拾えと目で訴えつづける彩香に、微笑んだままふわふわの少女――美郷がようやく一歩近付いた。
「ねぇ、西野先輩?」
可愛らしく小首を傾げた拍子に、ふわりと巻いたセミロングが耳の横でやわらかく揺れた。
「まったく釣り合ってないのに、沖田先輩とかにすり寄っちゃって――端から見たら可笑しいだけって知ってます?」
(すり寄って……って)
こめかみと口の端がヒクリと震えた。
こいつらの目は節穴か。
そのようだが。
「――そんなつもり、まっっったく無いけど?」
耐えろ耐えるんだ自分、と暗示をかけてどうにか声を絞り出す。
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