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振り返ると、校舎外壁に片手をついた長身の影。
「……は、早杉先輩!」
すでに制服姿で鞄を抱えた、あとは帰るだけの恰好になった早杉翔がいた。
そして。
暗くてかなり見えづらくはなっているが、その後ろにもう一人――
「沖田くん、も……?」
夕闇のせいかいつもの爽やかオーラこそ感じられないが、間違いなく沖田侑希だ。
しかしまったくの無表情でこちらを見つめ佇んでいるのは、なぜなのだろうか。
……それとも気のせいか。
(え、なんで? いつから二人が)
先ほどの早杉翔の第一声からしても、会話もある程度聞かれていたに違いないのだろうが。
ゆっくり歩み寄ってくる彼ら二人を、彩香は半ば呆然と見つめた。
一年女子三人に至っては声も出せずに固まっているらしい。
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