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「すっげー。他人の容姿どうこう言えるって、よっぽど自信あるんだ? へーえ? ほーお?」
翔の感心したような少し馬鹿にしたような声に、美郷たちの肩がびくりと震えた。
現場を抑えられてしまった驚愕からか、先ほどまでの高圧的な態度はすっかり消え失せている。
「あ、あの……せ、先輩、ち、違うんです」
「あたしたち……その」
「ちょ……ちょっとぶつかっちゃって」
飄々とした翔はともかく、憧れの対象である侑希の思いのほか冷たい視線にいたたまれなくなったのか、泣きそうなか細い声があがり、今にも崩折れそうなくらい脚も震えている。
まあ無理もない。
憧れの沖田大先輩にはできれば見られたくはない場面だったのだろう。
あまり褒められた行動ではない自覚はあるということか……。
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