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「――『可愛いは正義』とかさ、本気で思っちゃってる? 何してもいいって? ざーんねん。そんなワケねーから。……つーかさ」
なおいっそう声を落として――彼は笑った。
「他人をどうこう言う前に鏡見てみ? クソ意地悪い内面ばっちり表れちゃってるよ? 恥ずかしいのどっちだろーねえ。――あんま男ナメない方がいいよ?」
そんな、軽口とは裏腹に低く無感情に抑えられたセリフ終わりに。
ボスッ……と聞き慣れない音が彼を襲った。
「そこまでにして貰っていいっスか?」
一瞬の空白の後。
翔の背中に拳を打ち当てたポーズのまま、彩香が憮然と吐き捨てる。
さらに別な意味で静まり返った辺りには目もくれずに、一発サンドバッグ状態の翔がゆっくりと見返った。
「……おい」
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