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殴られた背中を押さえもせず、やや呆気にとられた表情で長身は見下ろしてくる……が。
「おまえ今、何――」
「すいません、先に謝っときます。でももういいっスよ。てかいい加減ウザいっスよ先輩」
「ちょっと待てコラ、おま……助けに入った人間に対して何――」
「頼んでないし。余計なことされてますます誤解されたらどーしてくれるんですか? あたし擦り寄ってるってありえない誤解されてるんですよ? ひどくないですか? しっかも先輩言いすぎだし。ちょっとは空気読んだらどうなんスか?」
すいませんと言うわりには流暢に物申しながら不快をあらわにしている彩香に、ちょっと待てと言わんばかりに翔が詰め寄ってきた。
「はあっ? おまえ大丈夫? 何言ってんの?」
彼にしてみれば、助けたはずの相手が感謝するでも悲しみにくれるでもなくなぜか怒っている(しかも殴られた)のが解せないのだろう。
それは理解してやらないでもないが。
――――だがしかしっ。
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