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「はいそこの二人、じゃれるのおしまい」
すでに収拾がつかなくなりかけていた抗争を、沖田侑希が恐ろしく冷静な声で止めた。
「いいから帰ろう。翔もほら、拾って」
何やら先ほどまでよりもさらに1、2℃冷えた空気を纏っているような気がする……。
だが、声を荒げるでも手をあげるでもなく場を収めてしまうあたり、やはり「おさすが」というしかない。
なんてデキる子!どっかの変態とは違うなっ、とすっかり作り笑いの仮面が剥がれたらしい頭上の長身をじとっと見上げる。
一瞬目が合うなりがっちり鷲掴んでいた頭からようやく手を放し、誰がじゃれてんだよ……とブツクサ言いながら翔も手伝って拾い始めた。
それを見届けた後、思い出したように侑希が後輩女子たちを振り返る。
「君たちは――――いいよ、もう帰りな」
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