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「こら翔もそこで絡まない。周りに迷惑だろ」
どうどうどうと苦笑しながら侑希が仲裁に入ったところで、自分と柚葉が乗る電車がホームに滑り込んできた。
時をおかず1番線のアナウンスが響き渡る。
彼らの上り電車も間もなく到着するらしい。
「じゃあまた明日な」
「う、うん。明日ね」
「あうう……脳みそが……」
爽やかに手を振る侑希への対応は柚葉に丸投げし、微かな目眩と頭痛に唸りながらヨロヨロと車内に乗り込む。
ピタリ閉じたドアの向こうに翔の憮然とした表情が見えたが、何かしようものならまた明日が怖いのでそそくさと目を逸らすに留めた。
◇ ◇ ◇
「変態なうえにあんなに手が出るヤツだったとは……。ううぅ乱暴者め」
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