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だが売り言葉に買い言葉的な状態でのあんな言葉なんて、どこに気にする要素があるというのだ。
言った本人からして動揺しヤケクソで吼えていたくらいだ。
たいした意味だってあるはずがない。
「真に受けんなよ、あんなん。おまえだって死ぬほど言われてんだろーが」
「西野に言われたことはない。…………しかも二度目だし」
後半はよく聞き取れなかったが、どうもかなり本気でムスッとしているらしい侑希。
普段何をやらせても何もしなくても完璧と称されるだけに、こんな表情もするのかと思ったら――――
つい新鮮な気分で突付いて遊んでやりたくなった。
「ぷっ……爽やか王子拗ねるの図。かーわいーぃ。女どもに見せてやりてーわ」
「あーのーなーーーっ」
ようやく幼児のような拗ね方を止め真正面から睨んできたと思った時には、一番線に列車が入ってきていた。
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