3.闘い(?)のあとに

15/15
前へ
/380ページ
次へ
「どーだか。すっかり素、出ちゃってるじゃん」  非の打ち所がない爽やかイケメンが、今まで見たこともないような半開きの目でジトッとこちらを睨み、指まで差してきた。  そんな顔もできたのか、とまたもや新鮮な発見をする。  が、今はまずこの変な思い込みを消してやるのが先決だろう。 「気ィ遣ったってしょーがねえ相手だってわかっただけだ。あんなワケわかんねー(ヤツ)に振りまく愛想なんて俺には無――」 「翔がライバルなんて死ぬほど冗談じゃないからな?」 「……」  どうやら今のこいつには何を言っても無駄らしい。  この幼馴染が(何がいいのか皆目見当もつかないが)あの狂暴でやかましいアレに惚れていることを責める権利など、自分にはない。  けどせめて話聞けよ、と思ったが――――    それを告げてやることさえ今は無駄だと気付いた時には、盛大なため息がもれていた。  「……………………アホか」
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加