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(やっぱり! ていうか今ここでその話を振るかーーー!?)
こ、これはもしや、今すぐ逃げなければならないパターンではないだろうか。
なぜだろう……。
怖くて隣を振り向けないのに、柚葉の目が静かに怒っているだろうことが手に取るようにわかるなんて。
さすがは大親友!(……ってそんな場合じゃない)
妙な笑みを浮かべてじりじり後ずさる彩香に、侑希はごく爽やかに純粋に爆弾を投下した。
「引っ越しとか初恋って、あれいったい――」
「あああああああああああああ! そ、そうだ。練習前に部長に用事があったんだ! 先行くねーーー!!」
叫び始めから猛ダッシュをかけて、脱兎の如く彩香は二人の前から逃げ出していた。
この後向かう先は一緒だし、その場しのぎということは重々承知だったが――。
残念なことに、今この場面では「逃げる」一択しか浮かばなかったのである。
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