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昔のことをすっかり忘れてしまっているのなら、おそらく今……彼は平気な表情で昔大好きだった女の子を見送っているのかもしれなくて――。
そう思うと……情けなくも目を逸らしてしまっていた。
キョトンとしてこちらに向かってくる柚葉に、心の中で(ごめんねごめんね邪魔して。断ると思うけど色んな意味で頑張れっ)とエールを送り、
「じゃっ、あたしはこれで。超トイレに用事あるんで!」
「おー相変わらずだな西野は。サンキューな」
「ごめんなすって!」
元クラスメートにあとはよろしくと手を振り、その場からそそくさと逃げ出した。
うつむき加減で足を速めながらも、ふと眉を寄せる。
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