5.扉を開けると

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 手ぶらで帰っては陸部面々に申し訳がたたないし、何より自分の跳躍訓練ができなくなってしまう。  いくらバーを使用しての正規訓練ではないとはいえ、それだけは何としても避けたかった。  よって―― 「あ、あのう……」  ごくりと喉を鳴らして、彩香は一歩踏み出す。 「…………電気点けても、いいですかね?」 「はあ?」  決死の表情で「灯りを点けろ」と宣う彩香に一瞬だけポカンとしたものの、喫煙男子生徒たちは揃って噴き出した。 「うははは、すげー」 「ちっちゃいのに結構肝っ玉だねー」  「一年生? 何? 先輩にパシリに使われちゃったのかなー?」
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