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「ぅおいっ!」
突然、聞き覚えのある怒声と半開きだったドアを完全に開き切る音が響いたと思ったら、
「たかがマットにどんだけ待たせんだよ、彩香はよっ?!」
痺れを切らしたらしい早杉翔が仁王立ちで用具室入口に現れた。
「へん……せ、先輩!」
「おまえがトロいせいで俺まで香川……に――……」
――が。
言葉途中で口をぱっくり開けたまま、翔はぐるりと薄暗い室内を見回す。
一巡で状況が見て取れたのか、一瞬考える素振りをしたかと思うと――――
「じゃあな」
おもむろに扉を閉ざそうとした。
「ちょーーーーーーっ……!! なんで閉めるかなっ!? 助けようよそこは!」
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