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彼らに恐れをなしてるわけでもなんでもなく、単に彩香を助けるのが心底面倒くさかったと言わんばかりの棒読みでの物言いに、思わず唖然としてしまう。
同学年だしそれほど怖くない、ということだろうか?
緊張感や危機感といったものがまるで無い救済(?)に、芽生えかけた恐怖もどこかに追いやられ彩香はひたすらポカンとしていた。
そこへ。
「早杉、か」
わずかに驚きの含まれた低い声。
先ほど助けてくれた、奥に居た男子生徒だ。
「塚本……?」
暗がりの中――その存在に初めて気付いたのか、翔もすっかり目を見開いている。
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