5.扉を開けると

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 ◇ ◇ ◇  知れば知るほど、この人物――――謎に思えてくる。   黙々と先を行く長身の背中を、彩香はちらりと見上げた。  爽やかで穏やかな学園の王子様――品行方正を絵に描いたような沖田侑希とはかなり仲の良い幼馴染であり、自身もモデルばりに背が高く顔も頭も良いという…………それこそ世の男性を敵に回しきったようなハイスペック男子。  そんな早杉翔は体育用具室を出てからというもの――  何かを考え込んででもいるのだろうか、一言も発していない。 (いったいどういうヒト……?)  彼女がいるくせに何かというとヘラヘラしてつつき回してくるようなチャラ男モードだったり、突然キレてヒトの頭を鷲掴みにしてくるような粗野な一面も持ち合わせていたり……。  そのうえ―― (ああいう系のヒトたちにも、冷静に平然と向き合えるって……) 
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