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難病とはいえ、何ひとつ衰える事のない姿は、時折それらを忘れさせる。
その華に気付いた時からずっと見守ってきた愛する女性が、今は妻となり自分だけに微笑みかけてくれるのだから、病魔の存在さえ忘れることが出来たなら、彼は幸せの絶頂なのだろう。
何としても手に入れたかった妻については、その内面はもちろんの事、すべてを自分の腕の中に閉じ込めておきたい。
いつの時もそうしていたい。
「むつみちゃん……」
病に伏せていると解っていても抱きしめたくなる事もある。そして、抱きしめると彼女の匂いに下腹部はしてやられるのだ。
「修哉…さん……?」
無意識なのか、彼女はとろけるような上目遣いで、これから何が始まるのかと夫の表情をうかがっている。それは修哉に対しさらなる追い打ちをかけた。
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