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テレビとおやすみ
テレビをつけるとさすがにマスコミは対応が早く、一部の局を除き既に臨時ニュースが組まれていた。
とりあえず国営放送にチャンネルを合わせる。
利発そうなニュースキャスターが、俺と同じく叩き起こされたであろう天文学の専門家と電話越しに話して光の原因を伝えていた。
「はっきりしたことは言えませんけどね、超新星爆発辺りが濃い線かな、と思ってます。」
「超新星爆発、ですか?」
「ええ。星がね、爆発するんですよ、ばーんって。その爆発の光ではないかと私は思っとります。」
まだ眠いのか専門家の解説が大雑把極まる。
しかし素人にはそれくらいの方がわかりやすい。
二人の会話は続く。
「地球には影響がありますか?」
「わかりません」
「おい」
思わず声に出た。
何を自信満々に言ってるんだこいつは、てきとうな仕事するなよ。
「超新星爆発が肉眼で観察できたのは古代が最後です。まだまだ謎が多い。そもそもどの程度離れた星かで状況も変わってきます。まずは要調査ですよ。」
結局何もわからないんじゃないか。盛大な肩透かしだ。
テレビを消した俺はリビングを後にした。
寝室にはさっきと同じように大小二つのと布団がだらりと置かれていて、そのうち小さい方がこんもりと膨れている。
親の言うことをちゃんと聞くいい子である。
眩しいのが嫌なのか、頭の先まですっぽり布団をかむっていた。
「お父さん」
冷めた布団に嫌気が指しつつ身を潜らせていると、隣の蓑虫が話しかけてきた。
「夜、返ってくる?」
その声はさっきより不安そうだ。
どうやら誤魔化されてなかったらしい。
俺も五年父親をやっているが、坊やも生まれてこのかた俺の坊やだ。一筋縄じゃいかない。
「大丈夫、絶対返ってくるよ」
さっきより力を込めてそう言ってやると、ようやく坊やは顔を緩めた。
今度こそ誤魔化されてくれただろうか。
「ありがとう、お父さん」
あらら。
やはり俺の坊やは手強い。
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