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『 2015/10/14
酷いネットの噂とコメント、そして眉つばの陰謀説。
近所の野良猫を燃やした、なんて話が、それほど目新しくはなくなっている。嫌悪感しか覚えない俺は多分、まだ正常だと思いたい。喝采するような動画へのコメントの数々を見てそう思わずにはいられない。
印象深い動画を見つけた。
人権団体なのか有志なのかはよく分からないが、要するに『咳をしただけで謂われの無い暴力や差別を受けた人々をバックに、差別をやめるように訴える動画』だ。
それ自体は珍しくも無い。
そのライブ動画の最中、被害者の1人の中年男性が激しく咳き込んだ。
怖くないとアピールするためなのか、訴える演説をしていた若い男が、その彼の肩を抱いてカメラに視線を向ける。
カメラの端が真っ赤に染まる。
吐血したのだ。
カメラ映像が踊り狂って反転した。
血を吐いた中年男性の肩を抱いた男が、悲鳴を上げて彼を突き飛ばした。
彼の血を浴びたその男は、助けを求めて仲間に駆け寄り、逃げられ、最後には同じように突き飛ばされ。
被害者の面々も、それを守ろうとした彼らも、
誰も助けようとはしなかった。
血を吐いて倒れた男性も、血を浴びて絶望的な表情で叫ぶ男も。
印象深い動画だった。
彼らを突き飛ばした人間たちの表情は、きっと、一生忘れない。 』
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