未熟なもので

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「あー、学園の同期だっけ? 許されると思っちゃったんじゃないのかな。前は許したんでしょ?」 「はい。でもその考えは甘すぎません?」 「クリスは一見優しいからねー。上辺だけなら激甘に見えるし、案外慰めてもらいたかったのかも?」  サンドバックになってか。  そんなもんですか、と煙草を詰めた煙管を持ち上げ、吸口を含んで煙を吸い込む。 「もうすっかり癖になってるね、それ」  煙管を示され、苦笑する。だって娯楽がないんですもん。 「もしかしたら兄の方も来るかも? 詰所を出たところで追っかけてきたんで、疑われそうです」 「平民だし?」 「はい、平民風情ですから」  ジルとクスクス笑って、それにしてもと頭を左右に揺らす。 「あれですよね、冒険者って、金のために討伐してるじゃないですか。兵士だって金のためでしょ? 貴族が国民を守るため、っていうのは税で生かされているわけだから、結局金ですよね?」 「金……生活を守るため、っていうのはあるだろうね。誰も討伐しないと、大変なことになるのは確かだし」 「うーん、でもそれを、お前らのために戦っているんだから敬えって言うのはどうなんです? 武器を買う金を寄越せ、ならわかるような気もしますけど」     
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