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「誰も認めてくれないと、虚しくなっちゃうんじゃない? 僕の仕事はギルマスだけど、彼らの仕事は討伐でしょ? みんな自分の仕事をしてるわけだから、それを褒めてくれって言うのがクリスは気になるんじゃないの?」
ジルの言葉を聞き、腑に落ちた。
そうか、戦う自分たちの仕事こそ至高、って態度が嫌なのかも。
「貴族として生まれ、仕事を選べず、かといって俺みたいに飛び出すこともできず、延々と戦うのに疲れちゃったんですかね」
「そこへ現れた魔法使いに、希望を見出しちゃったのかもねー」
「あれも相当ですよ。強いから戦えって、なら国王が強かったら戦えって言うのかよ、みたいな」
「今回に関しては、リオがスラム出身だっていうのが悪く作用したよね。魔法使いよりスラム出身が記憶に残って、好きに扱っていいと勘違いさせてしまった」
「……もう少しで溝を一気に浄化するとこでしたよ」
「ああ、あれはないよね……」
ジルと二人で、微妙な表情で遠くへと視線をやる。
下水なんか飲んで、よく死ななかったよな。汚物が流れてるんだぞ? それでも生きるために、啜るしかなかったんだよな。
……よし、今夜は俺がうまい飯を作ってやろう。
「じゃあ酒買って帰ります。今夜はリオに、俺お手製ハンバーグを作らないと」
「クリスはハンバーグしか作れないって、リオがぼやいていたよ?」
「しかじゃないです! 作ろうと思えばなんでも作れますから!」
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