未熟なもので

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 命の恩人だと思っているからかな。そこまで気にするような、そんな気持ちで助けたわけじゃなく、全てリオが選び取ってきた結果なだけなんだが。 「足触ってないで、こっち来ればいいだろ?」  俺の言葉に足を逃がし、お湯を揺らしてリオが近づく。顔を寄せてキスを仕掛け、あとはリオに任せてしまう。  死なないでほしいと思うし、大事だとも思う。消えてしまったら泣くだろうし、悲しくて苦しくなり、寂しくて喚くだろう。  一緒にいれば楽しいし、嬉しくもなる。  それなのに、……それなのに、なんだよなー。恋愛感情って難しいな。  それなのに俺は、リオが暴走したら迷わず殺せちゃうんだ。  そんで、めそめそ泣くのだろう。  もっと傲慢に、自由に、我儘に生きられるようにしないと。  そうなれたら、こいつは殺さない、だって俺がそう思ったから。って、言えるのかな。  そんな自分が想像できなくて、女々しく泣くことしか思いつかない。  けっこう難しい。だけど今日は、少しだけルールに沿って行動できた。  死なないために強くなる。生きるために強くなる。  殺されたときは誰のせいでもない。ただただ自分が弱かっただけ。 「クリス、知り合い殺したの、後悔してんのか?」  リオの肩に顎を乗せ、お湯を堪能していたらそんなことを聞かれ、小さく笑う。  ぼんやりしすぎたか? 「いや、後悔はしてない。ただ」     
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