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「ただ?」
「弱かったな、って」
心も技術も甘すぎて、あいつはすでに心が折れていたな、って。
「弱い者いじめみたいで、ちょっと後味が悪かったな」
「それ、後悔じゃねーの?」
「ん?」
リオの疑問に考え、はは、と笑ってしまう。
「そうだな、後悔だな。次は後悔しないように、挑発は控えよう」
「絡んでくる方がわりぃよ、こっちは忠告してんだから」
「ああ、それもそうだ」
けどあまりにも甘ちゃんな考えで、死んでいくのは自分じゃなく仲間なんだと思い込み、自分の怖気を誤魔化して、強者に縋りつこうとしたのが気に入らなくてさ。
認めず当たり散らしてきたあいつに、我慢できなかったんだよ。
「頑張って大人になります」
「……無理じゃね?」
「……今日はベッド別がいいんだな?」
そういうとこがガキなんじゃねーの? と、俺よりずっとお子様で、大人なリオが呆れている。
「あー、もう明日ほうれん草植えるかな」
「土地買って植えるんじゃなかったのかよ」
「待ちきれない。だってほうれん草はすぐ育つって、トールさんが言ってただろ?」
ガキ、と呟いたリオへお湯をかけ、風呂から出て寝室でパジャマシャツを着込む。
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