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それが本当は、必要ないことだとしても、それでも嬉しそうに食べてくれるクリスを見ていると、安心するんだ。
イゾッタとベラが付き合いだして、あいつらの惚気をよく聞くようになった。
俺は恋人とかそういうのはまだ興味がなくて、こんなに変わるんだなって不思議な気持ちになった。
俺は自分の身体がもう大人であることは知っていたし、年齢だって成人している。
いつかは好きな人ができて、その相手のことを大事に思って、イゾッタたちのように、幸せそうに笑うんだろうかと考える。
でもその考えはあまりしっくりこなくて、それよりクリスに必要とされた方が、幸せだと思った。
母さんが死んでから、ずっと一人で生き抜いて来た。もう駄目かもと思ったときは、クリスが助けてくれた。
一人じゃどうしようもない。そんなとき、クリスは助けてくれる。
他の魔法使いたちが、トールさんに感じているような感謝と敬愛を、俺はクリスに感じている。
だからクリスのために、俺ができる何かをしたいんだ。
それが飯を作ることしかないのが少し物足りないけど、ひとつでもあってよかった。
俺に優しくしてくれた人は他にもいるけど、クリスは特別だ。
身体が大人になるとき、俺はクリスとキスする夢を見た。朝起きて驚いたけど、疑問は感じなかった。
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