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「葉っぱなんだ。どれ? 見たい。あ、でもお腹空いた。何焼いてんだ?」
「卵。朝のうちに向こうへ転移して買ってきた。宿泊が今日までだったからついでだけど」
「うわ、目玉焼きだ!」
醤油が欲しい! リオの横からフライパンをのぞき込み、軽く踊り出しそうになる。
「目玉焼きって怖いな。卵焼きだから」
「そうか! 卵焼きか! なんの卵だよこれ」
「ハーピー」
「……聞きたくなかった」
ハーピーはダチョウくらいの大きさで、ダチョウみたいな下半身で、上半身が老婆みたいな魔物だ。美女じゃない。老婆だ。胸も萎れている。
顔がくしゃくしゃだから老婆に見えるだけで、よく見るとくちばしだし老婆じゃないのだが、遠目だと老婆に見える。
だみ声でギャーギャー鳴くんだが、その声が魔力を乱してくる。一体や十体なら気にならないのだが、あいつらは千単位の群れを作るので、一度墜落して逃げたことがある。
俺はあいつらが嫌いだ。だけど卵に罪はない。
「群れが通り過ぎたんだってさ。腐るほどあるって困ってたから、箱買いしてきた」
「おー、魔法袋に入れとくか、こっちじゃ卵なんて高級品だ」
皿に乗せた卵焼きを受け取り、居間のテーブルへ置く。
「コーヒーどうすんだ?」
「いる。お湯で薄めて飲む」
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