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12 シム その11
12 シム その11
その夜半、パルに続いて二人の子供も熱を出し、老人とおかみはあわてた。
明け方、子供たちの体に赤い発疹が出たのを見つけて、おかみはほっとしたように言う。
「心配ない、これは三日熱だね。
煎じたギードの根を飲んで、三日寝てれば熱がひくよ。
子供同士は伝染るけれど、大人はめったにかからない病気だ」
はっ、と気づいて、老人に薬袋を渡す。
「あっちの子供たち!あの子たちにも伝染っているはずだよ。
この薬、届けてきておくれ。代金なんかいらないから!」
しかし、老人が駆けつけた時、共有地に奴隷商人たちの姿はなかった。
「急ぎの旅の商人たちが、渡し船を待たずに、峠越えして南に向かうことにしたんだ」
「あいつらはそれについて行ったよ」
「子供連れじゃ無理だって、止めたんだけどねぇ」
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