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14 シム その13
14 シム その13
ロードリアスとラクロアの国境。
人里離れた深い森の中、川岸の泥に打ち上げられたぼろ布のようなものが、半ば水につかって、打ち寄せるさざ波に揺れていた。
水を飲みに来た若い岩狼が、血の匂いに気付く。
たやすく手に入る獲物があるのを知って、踊るような足取りで近づいた。
その足が、ぴたりと止まる。
鼻腔を広げて慎重に空気を嗅ぎ、打ち寄せられた物を調べようとする。
耳がぺたりと伏せられ、尾が下がる。
恐怖に唇がまくれ上がった。
悲鳴のような哀れな声をあげて、飛び上がり、必死になって逃げ去っていった。
さざ波に揺れたぼろ布が、向きを変える。
固く目を閉じた、血の気のない小さな顔が上を向く。
銀と言っていいほど薄い色の金髪を額に張り付かせた、痩せてやつれた少年の顔だった。
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