406人が本棚に入れています
本棚に追加
匠は放課後職員室に行き、担任の丸井先生に体育祭実行委員を引き受けることを告げた。
「それは嬉しいけど、どうした?」
「別にどうもしません。まだ決まってないみたいですし、今日みんなに心配かけたから………」
丸井先生は匠の両肩に手を置いて、目を潤ませた。
「矢萩、お前いい奴だな。そうか、分かった。それなら、お前に任せよう。先生は嬉しいぞ」
どう見ても体育会系のがっしりした体型なのに実は運動が苦手な丸井先生は、感極まって匠の肩をバンバン叩いた。
「い、痛いです」
「あ、すまんすまん。放課後の話し合いには出なくてもいいから、前日の準備と当日頑張ってくれ」
「はい」
特進クラスは10時間授業なので、話し合いの時間はまだ授業中だ。だから、話し合いは免除される。
因みに、育哉のいる12組も話し合いは免除されているんだ。スポーツクラスである12組は、大会で記録を残すために正月以外は毎日練習がある。だから、練習を優先させるために話し合いに出なくてもいいんだ。
「矢萩ありがとう。これ、当日の役割表だ。1組と12組は話し合いに出ない分、当日の分担が多いんだ。よろしくな」
「はい」
匠は頷くと、表を見る事なくすぐに鞄にしまった。
最初のコメントを投稿しよう!