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体育祭前日、この日は1組も6時間授業だったので、匠は準備のためにグランドの端にある倉庫の前に来ていた。
「実行委員の方は集まってください。初めての人もいるので、もう一度自己紹介をしたいと思います。僕は実行委員長の竹中です。2年3組です。楽しく思い出に残る体育祭にしたいと思っています。よろしくお願いします」
集まった委員がパチパチと拍手をした。
「では、1年から順番に自己紹介をしてください」
「えっ………。1年1組安原です。特進なので今日初めての参加です。全くわかりませんが、頑張ります」
パチパチパチパチ
「1年2組の………」
順番に自己紹介が始まった。1学年12人で3学年あるので、全部で36人の委員がいる。その内、特進とスポーツ推薦の6人が今日初めての参加だ。
匠の番になり、クラスと名前を言った後頑張りますと付け足して終わった。ただ少し違ったのは、2年の委員の1人が学年トップだと言ったため、少しザワザワした事ぐらいだ。
匠は次の人の言葉を聞きながら、先生に貰った役割表を初めてじっくりと見た。
今までの準備に携わっていない1組と12組は、やはり多くの仕事が割り振られている。けれど匠は、これで不公平感が薄れるならそれでいいと思った。
表を見ると、それぞれの学年で1組と12組、2組と3組、4組と5組という風にペアになって仕事を割り当てられている事が分かる。匠は2年12組とペアになっていた。
怖そうな人じゃないといいなと思いながら当たりを見回していると、自己紹介が12組の番になった。
「斉藤 育哉です。2年12組です。怪我なく終われるように頑張りたいと思います」
遅れてきたのか、息を切らせた育哉が慌てて自己紹介をした。
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