苛立ち

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斉藤君……。 これは偶然?それとも……。 どちらかが努力しなければ会うことはないはずなのに。 「それじゃあ、ペアに別れて準備します。1年は体育館でバレー。2年はグランドでサッカー、3年は卓球室で卓球です。サッサと終わらせて早く帰りましょう。始めてください」 匠は、隣に移動してきた育哉に話しかけた。 「斉藤君も実行委員なんだね」 「………」 あれ、聞こえなかったのかな? そう思って育哉を見ると、意地悪そうな笑みを浮かべていた。 「これからがあったら、どうするんだったかな?」 うっ。 匠は言葉に詰まる。今育哉が言ったのは、1ヶ月前に自分が言った言葉だ。確か育哉って呼ぶって約束したんだ。 「い、育哉」 「うん。何?」 「何で体育祭実行委員なの?これは偶然?」 「そう、偶然だよ」 偶然職員室でね……。育哉は本当の事を話すつもりなんてなかった。
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